アイツの躯で俺はアイツを作る。
誰かが俺を作ったように。
俺の作ったアイツは俺と同じだから、赤くて暖かい血が流れているアイツではなくなる。
俺はアイツを愛していたのだろうか。
自分と違い、暖かいアイツを。
では、自分と同じで暖かくないアイツはどうだろう?
答はわからない。
俺がアイツを愛していたのかどうかもわからないのだから。
躯にはもう血は流れていない。
新しいアイツを作るには、暖かい血は邪魔だったから。
それにもう、必要もない。
俺が欲しかったものを全て持って生まれてきたアイツは、俺が欲しかったものを全て失して俺と同じ存在になる。
かつての俺も、もしかしたら今の俺が欲しかったものを全て持っていたのかも知れない。
随分昔のことなので、かけらも覚えていないが。
それももう、どうでも良いこと。
俺はとうとうアイツを手に入れた。
それは、俺が欲しかった暖かいアイツではないけれど。
「おはよう」