ボクはケータイである。
ごめん、偉そうに言った。
つまるところ、ボクはケータイだ。
ボクの持ち主は年相応に青春をしている明るい女の子だ。がさつとも言う。
ボクをほおるし踏むし蹴るし置いてくし。
だからボクのボディには傷が絶えない。
デコレーションして隠そうともしているけど、角やらなんやらはどうしようもない。
ボクはそんな可哀相なケータイだ。
最近はことに、ボクへの扱いが荒くなったと思う。
それも、アレだ。
恋というものだ。
だからメールの返事が来れば狂喜乱舞してボクをほおるし、メールの返事が来なければ怒ってほおるし。けど返事が来れば、また狂喜乱舞してほおるし。
それの繰り返しだ。
ボクは彼女の恋が早く成就なり破局なりすることを祈っている。
まぁ、出来れば成就のほうが望ましいけれども。