中メトロポリス

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伊和はまだ知らないみたいだけど、綺羽は相当だらしのない性格だ。

片付けはちゃんとやってくれるし、掃除も手伝ってくれる。制服はいつもパリッとしてたし、おしゃれや身だしなみには気を付けていた。

ならどこが、というと、人間関係と時間の感覚。つまりは空気の読めない子なのだ。

私と綺羽は高校時代、同じクラスの隣の席になったことが縁で、綺羽の世話焼きなところと生活能力のない私の性格が合致して(自覚はあるんだ私にも)、仲の良い友達となった。
私には、件の「だらしない」ところも、スルーできるだけの器量もあった。


だけども、一度だけ大きな喧嘩をしたことがある。
原因はよく覚えていないが、まぁようするにそのだらしなさに嫌気が差したとでも言っておこう。

そしていわゆる絶交状態に陥ったのだが、私の苛々はつのるばかり。綺羽は男をとっかえひっかえしてるという噂が流れた。
そういう所が嫌いだと言ったのに、直す様子どころか余計に節操のない綺羽に私の怒りはピークも通り過ぎて、『どうでもいいひと』カテゴリに一度は綺羽を入れたものだった。

しかし。

「どうしよう!わたし、姫凛が居ないと駄目みたい!」
「?」
「何をやっても上手くいかないの!部活も、勉強も、バイトも、恋愛も!」

「そ…れは、逆恨みじゃないの」
「どこが?!」
「お前の恋が成就するしないの、どこに私が関わってると言うんだ」

凄まじい剣幕で焚き付けてくる綺羽に、身動ぎながらも私は答えた。至極真っ当な答えだ。

「あるよ!僕が好きなのは姫凜なんだから!」
「…え、」

その時は引いたものの、わー言っちゃった!という綺羽のやけくそテンションで押しに押され。


あれよあれよと『ただならぬ関係』になり(押し切られたのは私の甘さだ)。
なんでか互いの親公認で同居するまでになり、伊和にまでカミングアウトして、一体私は何をやっているのだろうという自覚はある。

でも私が綺羽を愛してしまったのもまた事実なのだ。
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